高校1年生の息子が危険物乙4試験に一発合格しました。
勉強時間は1日約30分、2か月間勉強しました。
危険物乙4試験試験の合格体験記と勉強方法についてまとめました。
乙種第4危険物取扱者試験の内容と受験資格
乙種第4危険物取扱者試験はマーク・カードによる筆記試験です。5つの選択肢の中から適切な解答を1つを選ぶ形式の試験です。
試験科目は3分野あります。試験科目ごとの正答率が60%以上であれば合格です。正答率が60%未満の科目が1科目でもあると不合格になります。
試験科目 | 問題数 |
---|---|
危険物に関する法令 | 15 |
物理学・科学(基礎) | 10 |
危険物の性質 危険物の火災予防と消火方法 | 10 |
令和2年の合格率は約40%です。数年前は合格率が約30%でした。近年、合格率が上昇しています。
乙種は誰でも受験できる国家資格です。
テキスト1冊で危険物乙4試験に合格できるか?
テキスト1冊の勉強で、乙種第4危険物取扱者試験に合格できます。
息子は危険物乙4のテキストを1冊だけ勉強して、試験に一発合格しました。
息子がこの試験を知ったきっかけは、高校で行われた資格試験の説明会でした。2ヶ月前に危険物乙4試験があることを知りました。その時に先生からテキストを1冊勉強すれば受かるという説明を受けました。
化学が好きだったこともあり、危険物乙4試験の勉強を受けることにしました。
本屋で1冊、テキストを買ってきて勉強を始めました。
買ってきたテキストは説明がわかりやすくて勉強しやすかったのですが、危険物乙4試験の試験範囲を網羅していませんでした。
そのことに気づいたのは、試験3日前でした。危険物乙4試験の過去問を解いて、テキストで勉強していないことが試験に出ることに気づきました。
新しいテキストを購入する時間がなかったため、わからない部分を勉強しないまま試験日を迎えるこにとになってしまいました。
当日の試験で勉強していない範囲の問題が出題されました。当然、その問題はわかりませんでした。
このようなことが起こらないためにも早めに過去問を解くことをおすすめします。過去問を解くと出題傾向がわかります。運が良ければ、過去問でやった問題が本番の試験でも出題される可能性があります。
過去問はインターネットで勉強できます。無料です。
「乙種第4類危険物取扱者試験 過去問」で検索すると過去問が掲載されているホームページが出てきます。
危険物乙4試験のテキストを購入するときの注意点
独学の場合、テキスト選びは重要です。テキストの解説で理解度が変わってきます。できれば本屋さんで現物を確認して、内容をチェックしてから本を購入することをおすすめします。読みやすくて、説明がわかりやすい本を選びましょう。
危険物乙4試験の勉強方法
危険物乙4試験は、暗記すれば解ける問題が多いです。
危険物の品名と性質は必ず出題されます。危険物の品名と性質を暗記するのに時間がかかります。誰かに問題を出してもらうと早く覚えられます。
物理学と化学は危険物に関連する部分のみ出題されます。中学生、高校生で勉強する内容の基本的な問題が出題されます。公式を覚えていないと解けない計算問題が出題されます。
法令は、危険物の品名と性質をある程度覚えた後に勉強したほうが理解しやすいです。
テキストを1冊しか買わない予定の場合、テキストに問題集が載っていものを選ぶことをおすすめします。理由はテキストを読んだ後に問題を解くと、自分がどれだけ理解できたのか確認できるからです。
危険物乙4試験の内容(参考)
危険物乙4試験内容の一部をまとめました。
消防法で定める危険物
第1類から第6類の危険物の特性
類別 | 性質 | 概要 |
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第1類 | 酸化性固体 | 他の物質を強く酸化させる 不燃性固体 熱、衝撃、摩擦によって燃焼を 起こさせる危険性がある |
第2類 | 可燃性固体 | 火炎によって着火しやすい 低温(40℃未満)で引火しやすい 発火しやすく、燃焼が速い いったん燃えると消火が困難 |
第3類 | 自然発火性物質 及び禁水性物質 | 可燃性の液体または固体 長時間空気にさらされることで 自然発火しやすい 水と接触して発火する 可燃性ガスを発生する |
第4類 | 引火性液体 | 引火しやすい可燃性の液体 液体から発生する可燃性の蒸気は 引火や爆発を起こす危険性あり 電気の不導体で静電気を蓄積しやすい 液体の比重は1より小さいものが多い |
第5類 | 自己反応性物質 | 固体または液体 加熱分解などで多量の熱を発生させる 爆発的に反応が進行する |
第6類 | 酸化性液体 | 不燃性液体 酸化力が強く、他の可燃物の燃焼を 促進する |
第4類の主な危険物
第4類の品名
品名 | 消防法上の分類 |
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特殊引火物 | 1気圧において発火点が100℃以下のもの または引火点が-20℃以下で沸点が 40℃以下のもの |
第1石油類 | 1気圧において発火点が21℃未満のもの |
アルコール類 | 1分子中の炭素原子の数が 1個から3個までの飽和1価アルコール (変性アルコールを含む) 飽和1価アルコールの含有量が 60%未満の水溶液は除く |
第2石油類 | 1気圧において 引火点が21℃以上で70℃未満のもの |
第3石油類 | 1気圧において 引火点が70℃以上で200℃未満のもの |
第4石油類 | 1気圧において 引火点が200℃以上で250℃未満のもの |
動植物油類 | 1気圧において 引火点が250℃未満のもの |
品名 | 非水溶性液体 (水に溶けない) | 水溶性液体 (水に溶ける ) | 性質 |
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特殊引火物 | ジエチルエーテル 二硫化炭素 | アセトアルデヒド 酸化プロピレン | 引火点が低い 常温(20℃)で 引火する危険性 あり |
第1石油類 | ガソリン | アセトン | 常温で引火する 危険性あり |
アルコール類 | なし | メタノール エタノール | 沸点は100℃より 低い 常温で引火する 危険性あり |
第2石油類 | 灯油 軽油 クロロベンゼン | 酢酸 | 引火点は 常温より高い 水より重い |
第3石油類 | 重油 ニトロベンゼン | エチレングリコール グリセリン | 発火点は250℃ 以上 |
第4石油類 | ギヤー油 シリンダー油 | なし | 水より軽い |
動物性油脂 | ナタネ油 アマニ油 | なし | 酸化熱が蓄積し、 自然発火しやすい |
品名 | 危険物 |
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常温(20℃)で 引火する危険性あり | ジエチルエーテル 二硫化炭素 アセトアルデヒド 酸化プロピレン ガソリン アセトン メタノール エタノール |
比重が1より小さい (水より軽い) | ジエチルエーテル アセトアルデヒド 酸化プロピレン ガソリン アセトン メタノール エタノール 灯油 軽油 ギヤー油 シリンダー油 ナタネ油 アマニ油 |
比重が1より大きい (水より重い) | 二硫化炭素 クロロベンゼン 酢酸 エチレングリコール グリセリン |
蒸気比重が1より大きい (空気より重い) | 第4類危険物すべて |
発火点100℃以下の 第4類危険物 | 二硫化炭素 |
危険物に関する法令
予防規定とは
製造所などが火災を予防するために危険物の取扱に関し、保安に関する事項を規定することです。
保安事項は所有者が作成します。予防規定を制定したときや変更するときは、市町村の認可が必要です。
危険物を貯蔵または取り扱う製造業の届出について
危険物の品名、数量または指定数量の倍数の変更する場合、10日前までの届け出が義務付けられています。
製造所の譲渡・引渡、製造所の用途の変更、危険物保安監督者の選任・解任、危険物保安統括管理者の選任・解任は、遅滞なく届け出をしなければなりません。
保安距離とは
保安対象となる建築物(住宅・病院・学校など)と製造所までの距離をいいます。製造所で火災や爆発などの災害が発生したときに、保安対象の建築物に被害が及ばないようにするために距離を定めています。
保安距離を 保たなければなならない施設 |
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製造所 |
屋内貯蔵所 |
屋外タンク貯蔵所 |
屋外貯蔵所 |
一般取扱所 |
消火設備の種類
危険物を取り扱う製造所などは、消火の困難性に対応した消火設備が必要です。
消火設備は、第1種消火設備から第5種消火設備に区分されています。製造所などは、消火の困難性に応じた消火設備を設置しなければなりません。
第5種消火設備(小型消火器・簡易消火用具)
地下タンクついてタンク・移動タンクの貯蔵所、給油・販売取扱所は、有効に消火できる位置に第5種消火設を設置します。製造所などは、防護対象物の各部分から1つの消火設備に至る歩行距離が20m以下となるように第5種消火設を設置しなければなりません。第1種から第4種までの消火設備と併置する場合は、この限りではありません。
許可の取り消しまたは使用停止命令について
市町村は法令に違反している製造所の所有者に対して、許可の取り消しまたは使用停止を命じることができます。
許可取消・使用停止事項 |
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定期点検未実施 |
修理・改造・移転の措置命令違反 |
完成検査前に施設を使用 |
製造所などの位置、構造、設備を 許可なく変更 |
定期点検について
製造所などは、位置、構造、設備を定期点検する義務があります。点検記録を作成し、点検記録を保存しなければなりません。点検記録の保存期間は原則3年です。
点検記録に記載する内容 |
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製造所などの名称 |
点検の方法と結果 |
点検年月日 |
点検を行った危険物取扱者 もしくは危険物施設保安員 または点検に立ち会った 危険物取扱者の氏名 |
基礎的な物理学および基礎的な化学
燃焼について
燃焼とは、熱と光の発生を伴う酸化反応のことをいいます。
燃焼が始まるには、可燃物(木材など)、酸素供給体(空気など)、点火源(電気・静電気など)の3つが同時に存在しなければなりません。
自然発火の原因
発熱の原因 | 物質例 |
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分解により発熱 | ニトロセルロース セルロイド |
酸化により発熱 | ゴム粉 石炭 |
吸着により発熱 | 活性炭 |
発酵により発熱 | たい肥 |
重合により発熱 | スチレン |
危険物火災方法及び消火の方法
消火について
消火するには、燃焼の三要素(可燃性物質・酸素供給体・点火源)のどれか1つを取り除きます。
消火法 | 消火の方法 |
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除去消火法 | 可燃物を取り去る |
窒息消火法 | 泡消火剤・粉末消火剤で 酸素を遮断 ハロゲン化物で酸素と酸素を 置き換えて遮断 二酸化炭素で酸素を希釈 乾燥砂で覆い酸素を遮断 |
冷却消火法 | 点火源の温度を下げる |
抑制消火法 | 燃焼連鎖反応を抑制 |
消火剤
水溶性の危険物には一般の泡消火剤ではなく、水溶性液体用泡消火剤を用います。
まとめ
乙種第4危険物取扱者試験は、テキストを1冊勉強すれば合格できます。
確実に合格したいならテキストと問題集を1冊ずつ勉強することをおすすめします。