工業高校は技術者育成の役割を果たしている

工業高校工業高校

製造業は人材不足・人材育成の経営課題を抱えている

日本の企業は、人材不足、人材育成が進んでいないという経営課題を抱えています。

日本は少子高齢化が進み、労働者の人口が減少しています。

過去には人材が豊富だった製造業も人材不足を感じる企業が増加しており、人材不足が原因で経営状態が悪化している企業も出てきています。経営が順調でも人材が確保できず倒産する企業が増加しています。

製造業が将来にわたって高い技術力維持し続けるためには、技術者を育成し、技術や技能を承継することが重要です。

しかし、学生の理系離れ、若者のもづくりの関心の弱さが課題となっています。製造業の人材不足を解消するには、若いうちから一人でも多くの生徒に製造業に興味を持ってもらうことが大切です。

工業高校は、将来の技術者を育成している

工業高校は、若いうちから製造業に興味を持つのに最適な環境が整っています。授業や実習を通して、技術者の人材育成をしています。ものづくりの技術を学習することで、ものづくりの楽しさとやりがいを知ることができます。

しかし、工業高校の生徒数は、高等学校の全生徒数の7.6%しかいません。普通高校の生徒数は73.1%です。(令和元年の文部科学省 学校基本調査参照)

大学進学志向の高まりの影響を受け、普通科の高校に進学する生徒が多く、工業高校への進学希望者は減少傾向です。工業高校から大学に進学する生徒もいますが、普通科の高校から大学へ進学するのが一般的な流れになっています。今後も大学進学志向が続くことが予想され、工業高校への進学希望者が増えることは考えにくいです。

若者が製造業に興味を持つにはどうすればいいか

工業高校は、製造業が体験できる設備が充実しています。学校の設備や工具などを使って、ものづくりが体験できます。インターンシップや企業見学を通して、やりたい仕事を見つけることもできます。

しかし、高専と工業高校以外の高校で製造業を体験学習できるような教育システムがないことから、高校生がものづくりに興味を持てる機会が少ないです。

どの高校にも職業体験ができるようなカリキュラムが用意されていればいいのにと思います。幅広い分野の職業体験を通して、自分の適性に合った仕事を発見できれば、将来の目標がはっきりしてくるのではないでしょうか。

高校生で職業体験しておくことのメリットは、自分に向いていないと感じたら早い段階で違う分野に進路変更できることです。本などの情報からやりたい仕事を想像するより、体験学習をした方が、自分に向いているかどうかわかりやすいです。就職後に、想像していた仕事内容と違う。こんなはずではなかったといった、ミスマッチが起きないようにする効果も期待できます。専門学校や大学に進学する場合でも、職業体験で予備知識があった方が、大学で学ぶ目的がはっきりし、目標に向かって意欲的に勉強に取り組めます。専攻学科の選択を間違えてしまうリスクも減ります。

若いうちから体験学習を通じて、様々な仕事に興味・関心を持つ環境が整えば、製造業への就職希望者も増えるのではないでしょか。

製造業は今後も人材が不足することが予想される

日本は、工場を海外に移転し、部品や材料を海外から輸入していました。しかし、海外からの輸入がストップするなどのリスクが顕在化し、国内製造の重要性が見直されています。今後、海外移転していた工場を国内に戻す動きが進めば、製造業はさらに人材が不足することが予想されます。

製造業は、バブル経済崩壊後のリストラによるイメージ悪化や労働条件、待遇面などへの不満などにより、人気が落ちていました。製造業を目指す理工系大学への志願者は減少し傾向でした。しかし、最近になって情報系技術者になることを希望して、理工系大学を志願する学生が増えてきました。

製造業の人材不足を解消するには、労働環境の改善が課題になっています。長時間労働やサービス残業を禁止し、風通しの良い職場環境を整えることで、従業員が定着しやすい職場を作ることが重要です。

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